会社員がふるさと納税をするメリット。年末調整や確定申告など会社員の注意点

CMでも話題のふるさと納税を利用される人増えてきておりますが、税金が関わるので会社勤めの方は会社に何か申請したり迷惑がかかってしまうのではと躊躇してしまいますね。

この記事ではふるさと納税をするメリットや確定申告の対応など、会社員ならではの注意点をご紹介します。ふるさと納税の仕組みを理解してお得な返礼品を受け取りましょう。

ふるさと納税は会社員こそ利用しよう!

ふるとさと納税の仕組み

ふるさと納税は商品を購入する買い物のイメージが強いですが、実態は自治体への寄付です。

自分の故郷やよく訪れる地域へ寄付をすることで自治体からお礼としてその地域の名産品が返礼品として贈られます。

ふるさと納税として寄付できるサイトは数多くありますが、ポータルサイトとして有名なのが「さとふるチョイス」と「さとふる」です。この中からお好きな地域や返礼品を選ぶこともできます。

応援したい地域や好きな返礼品から探すこともできますが、自治体によっては災害復興や環境保全、新型コロナウィルス緊急支援などを呼びかける取り組みもありますので、寄付されたお金の使い道まで自分で選択することが可能です。

実質2,000円負担でお得な返礼品を受け取れる

ふるさと納税の最大のメリットは2,000円を超えた金額が翌年の所得税や住民税の控除対象として戻ってくることです。とは言っても多く寄付した方がお得になる訳でもございません。寄付できる限度額が個人ごとに決まっているのです。

寄付の限度額は個人の収入や家族構成、すでに受けている税金控除の金額により決定します。限度額を超えてしまうと、適用される控除額から対象外になり2,000円以上の負担になってしまう可能性があるのです。

自分の限度額を把握しておくことがふるさと納税を楽しむポイントです。

会社に迷惑?年末調整や確定申告の対応

会社の年末調整への影響

会社員の場合、毎年12月頃に年末調整を提出しますが、ふるさと納税で寄付すると年末調整時に申告しないといけないのでは?と不安ですが、原則ふるさと納税を年末調整で申告することはできません。

その理由は、ふるさと納税による控除は、1月1日から12月31日までの寄附金総額で計算されるため、年末調整が行われる12月の給料までに確定させることが困難だからです。

一般的にはふるさと納税の控除を受け取るには寄付を行った翌年にご自身で確定申告を行う必要があります。「ちょっと大変そう…」と感じてしまいますが、確定申告を行わなくても控除が受け取ることができるのが次に紹介する「ワンストップ特例制度」です。

会社員に優しいワンストップ特例制度

「ワンストップ特例制度」とは一定の条件を満たすことで確定申告なしでも控除を受け取ることができる仕組みです。「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入して自治体へ送るだけなので簡単に申請できます。一定の条件は以下2つです。

「ワンストップ特例制度」申請条件

①もともと確定申告をする必要のない給与所得者等であること
②1年間の寄付先が5自治体以内であること

ワンストップ特例申請には締め切り日も決められています。万が一間に合わなかった場合は確定申告をする必要があります。

ワンストップ特例申請の締め切り日:寄附した翌年1月10日(必着)までに寄附先の自治体へ書類を提出

ふるさと納税を扱う各ポータルサイトなら独自システムにより簡単に申請書をダウンロードできる機能がありますのでチェックしてみてください。

所得税、住民税の控除と全額控除される条件

具体的な控除額目安についてみていきましょう。

所得税と住民税が控除される目安

控除を申請する場合、確定申告とワンストップ特例制度の2つの方法をお伝えしましたが、確定申告は所得税と住民税、ワンストップ特例制度は住民税のみが控除対象となります。

控除額限度額を知るには各ポータルサイトにてシミュレーションがありますので一度ご確認ください。

ふるさと納税サイト[ふるさとチョイス]

https://www.furusato-tax.jp/about/simulation?footer

控除額の目安は例えば10,000円をふるさと納税した場合、8,000円の控除額を受けられます。返礼品単体での計算ではなく、1年の合計で決まるため60,000円分利用した場合は58,000円が控除額として適用されます。

ただ、2,000円を差し引いた額をまるまる受け取れる訳ではなく、住民税や所得税の算出方法が異なるため控除額が変わります。計算式は以下のとおりです。

①所得税からの控除 = (ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」

所得税からの控除額は、上記①の計算式で決まります。

①所得税からの控除 = (ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」

所得税からの控除額は、上記①の計算式で決まります。

なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の40%が上限です。

※平成49年中の寄附までは、所得税の税率は復興特別所得税の税率を加えた率となります。

※所得税の税率は、課税所得の増加に応じて高くなるように設定されており、その納税者に適用される税率を用います。

所得税の税率について(国税庁)別ウィンドウで開きます

住民税からの控除には「基本分」と「特例分」があり、それぞれ以下のように決まります。

住民税からの控除(基本分) = (ふるさと納税額-2,000円)×10%

住民税からの控除の基本分は、上記②の計算式で決まります。

なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限です。

住民税からの控除(特例分) = (ふるさと納税額 – 2,000円)×(100% – 10%(基本分) – 所得税の税率)

住民税からの控除の特例分は、この特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合は、上記③の計算式で決まります。

上記③における所得税の税率は、個人住民税の課税所得金額から人的控除差調整額を差し引いた金額により求めた所得税の税率であり、上記①の所得税の税率と異なる場合があります。

③’住民税からの控除(特例分) = (住民税所得割額)×20%

特例分(③で計算した場合の特例分)が住民税所得割額の2割を超える場合は、上記③’の計算式となります。

この場合、①、②及び③’の3つの控除を合計しても(ふるさと納税額-2,000円)の全額が控除されず、実質負担額は2,000円を超えます。

※具体的な計算は、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html

色々と難しく感じてしまいますが、まずは自分の控除限度額を把握することから始めてみましょう。

全額控除されるための条件

自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税(復興特別所得税を含む)及び個人住民税から控除される、ふるさと納税額の目安一覧(平成27年以降)です。

ふるさと納税を行う方の給与収入と家族構成別で表にしていますので、参考にしてください。

全額控除されるふるさと納税額の年間上限を超えた金額については、全額控除の対象となりませんのでご注意ください。

※掲載している表は、住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けていない給与所得者のケースとなります。年金収入のみの方や事業者の方、住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けている給与所得者の方の控除額上限は表とは異なりますのでご注意ください。

※社会保険料控除額について、給与収入の15%と仮定しています。

※掲載している表はあくまで目安です。具体的な計算はお住まい(ふるさと納税翌年1月1日時点)の市区町村にお問い合わせください。

※1「共働き」は、ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します。(配偶者の給与収入が201万円超の場合)

※2「夫婦」は、ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケースを指します。

※3「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します。

※4中学生以下の子供は(控除額に影響がないため)、計算に入れる必要はありません。

例えば、「夫婦子1人(小学生)」は、「夫婦」と同額になります。また、「夫婦子2人(高校生と中学生)」は、「夫婦子1人(高校生)」と同額になります。

まとめ

ふるさと納税は地方で育った若い世代が都市へ移り住むことで都市部では納税が増える一方、地方では高齢化も伴い税が増えないことの課題の解決策として始まった制度です。都会に限らず日本どこに住んでいても故郷や地方を応援できることがふるさと納税の肝と言えます。

ふるさと納税の仕組みや控除限度額を知ることでふるさと納税をより楽しめます。会社員がふるさと納税を利用する場合も控除申請が簡単なワンストップ特例制度を活用したいところです。この記事をきっかけにふるさと納税を利用してみてはいかがでしょうか。